治験の報酬|高額な謝礼がもらえる理由といつ支払いがあるかを解説(2025年版)

「治験って、実際いくらもらえるの?」

結論から知りたい方のために、まず数字をお伝えします。2025年現在、入院治験1泊あたりの報酬相場は2万円〜3万円です。

入院の治験は、一定の間隔をあけて入院を2回に分けて行うケースが多く、たとえば4泊5日を2回(合計8泊10日)の治験だと約20万円(16〜24万円)くらいが相場となります。

この入院の治験は「治験バイト」と呼ばれ、実際にはアルバイトではないものの、大学生や自営業・フリーランスの方が参加するケースが多く、短期間でまとまった謝礼が得られる点が人気の理由です。

とはいえ、初めて治験に参加する方の中には、
「どうしてそんなにもらえるの?」
「危険だから報酬が高額なの?」
「税金はかかる?」
と気になることも多いはず。

この記事では、2025年の最新データをもとに、治験の報酬相場から支払いの仕組み、気をつけたいポイントまでまるっと解説します。


治験の報酬(負担軽減費)が高額になる理由

治験の報酬はバイト代や給与とは違う

まず知っておいてほしいのは、治験はアルバイトのように“働いて稼ぐ”ものではなく、自分の意思で参加するボランティア活動だということ。

だから、そこで支払われるお金も「給料」や「バイト代」ではありません。その代わりに用いられているのが、「負担軽減費」という考え方です。

負担軽減費が支払われる理由は、簡単に言えば「治験に協力してくれる人がちゃんと集まるようにするため」。

新しい薬を世に出すには、健康な人の協力が必要不可欠。でも時間も手間も体力もかかる…そんな中で「何の見返りもありません」では、なかなか参加者は集まりませんよね。

そこで、治験に参加してくれる人の負担を少しでも軽くするために、負担軽減費という形でお金が支払われるのです。

ただし、この金額には大切なルールがあり、下記2点を満たすように設計されています。

  • 社会通念上、納得できる範囲であること
  • 金額が高すぎて、治験のリスクや内容を見ずに“お金だけ”で飛びつかせない(金銭誘引しない)こと

治験はあくまで“自由な意思”で参加してもらうことが前提なので、報酬が高すぎるのもNGなんです。もし負担軽減費があまりに高額だと、参加者が治験のリスクを十分に理解しないまま、お金だけを目当てに参加してしまう可能性があるからです。

高額な報酬が出る理由

よくある誤解のひとつが、「治験は危険だから、その分報酬が高い」というイメージです。

しかし実際には、報酬が高くなる一番の理由は “長時間拘束されること” にあります。入院治験では、外出や飲食、嗜好品(飲酒・喫煙)などに制限があり、寝ている時間も含めて、1日を通して病院やクリニックで過ごします。

実際に1泊あたりを時給換算すると、時給1,000円 × 24時間 = 24,000円。この計算からも、入院治験1泊あたり2万円〜3万円という相場は、決して特別に高い金額ではないことがわかります。

つまり、治験の報酬は「危険だから高額」というものではなく、一般的な時給感覚から大きく外れない範囲で、拘束時間を考慮して設定されているのです。

治験はどんな安全管理のもとで行われている?

実際の治験は“放置された実験”のようなものではなく、厳格なルールと管理体制のもとで行われています。

入院治験の場合、医師や看護師が常に院内におり、体調の変化があればすぐに確認・対応できる体制が整っています。採血やバイタルチェックも決められた時間ごとに行われ、参加者の状態は細かくモニタリングされます。

また、万が一、治験薬が原因と考えられる健康被害が起きた場合に備えて、「治験保険(健康被害補償制度)」が用意されています。これは、治験に参加したことで体調を崩した場合に、医療費や補償が受けられる仕組みです。

さらに、治験は国のルール(GCP:医薬品の臨床試験の実施基準)に基づいて実施され、内容は事前に倫理委員会で審査・承認されたものだけが行われます。

安全性を最優先にしたうえで、参加者が守られる仕組みが用意されているのが治験です。

それでも『治験で死亡することは本当にないの?』と不安に思う方へ、実際の事例とともに詳しく解説した記事があります。


入院治験の報酬相場は?気になる金額の目安を紹介

入院治験は【事前検診(健康診断)参加 → 合否 → 本試験(入院)】という流れになります。ここからそれぞれの相場や支払い時期について詳しくみていきましょう。

事前検診(健康診断)報酬の相場

全国的に大体3,000〜5,000円が相場です。事前検診にかかる所要時間は大体2〜3時間で、複数設けられた日程のうち、いずれか1日に参加します。

事前検診の合格率は約40%。不合格となってしまった場合はこの報酬だけもらって終了となります。なお、一度事前検診で不合格だったからと言って諦める必要はなく、基本的には他の試験で何度でも挑戦できます。

入院1泊あたりの報酬相場

入院治験では、1泊あたり20,000円〜30,000円程度が相場です。

基本的に外出はできませんが、入院中は比較的自由に過ごすことができます。アメニティが豊富な施設も多く、Wi-Fi環境も整っているため、思っているほど不自由に感じないケースが多いです。

ただし、集団生活が苦手な方はストレスに感じる場合もあるでしょう。

実例と4ヶ月の休薬ルール

実際に支払われた例をいくつか見てみましょう。

短期(2泊3日の入院×2回) 約10万円
中期(4泊5日の入院+通院5回) 約30万円
長期(7泊8日の入院×3回) 約40万円

こう見ると結構高額ですよね。ただし、ここで注意したいのが「休薬期間」の存在。

基本的に1回の治験が終わったあとは、約4ヶ月間は他の治験に参加できないというルールがあります。これは、体内に残った薬の影響を次の治験に持ち越さないための“お休み期間”のようなもの。

つまり、どれだけ良い条件の治験が見つかっても、短期間で連続参加はできない仕組みなんです。年間で参加できる回数は、2〜3回程度が限度と思っておいた方がいいでしょう。


報酬はいつ・どうやって支払われる?

治験報酬の支払いタイミングや方法は、治験内容や実施施設によって異なります。ここでは、入院治験でよくある一般的な支払いパターンをご紹介します。

治験報酬の支払いタイミングと方法

事前検診(健康診断)の報酬や謝礼については、検診当日に現金で手渡しされるケースが多いのが特徴です。

一方、本試験(入院治験)の支払いでよくあるのは、次の2パターンです。

  • 一括払い:
    治験終了時にまとめて支払われます。2回以上の入院がある治験では、最終退院日または最終通院日に支払われるケースが一般的です。
  • 分割払い:
    1回目の退院時などに一部が支給され、残りは最終退院日または最終通院日に支払われます。

支払い方法も施設によって異なります。

  • 現金手渡し:
    直接施設担当者から手渡されます。
  • 銀行振込:
    振込は1〜2週間後になる場合があります。

途中で治験を辞退することになった場合でも、それまでに参加した分の報酬は、日割りまたは回数割りで支払われるのが基本です。

ただし、支払い条件や金額の扱いは治験ごとに異なります。参加前に必ず渡される「同意説明文書」を確認し、不明点があれば、事前に施設担当者へ確認しておきましょう。


税金・確定申告の注意点

治験報酬は「雑所得」扱いになる

まず大前提として、治験で得たお金は「バイト代(給与所得)」ではなく、「雑所得」という区分になります。

「給料」ではないため、源泉徴収(税金の天引き)がされていないケースがほとんどです。そのため、年間の受取金額によっては、自分自身で確定申告をして税金を納める必要があります。

確定申告が必要なボーダーライン

あなたの状況 確定申告が必要になる基準(年間) 注意点
会社員(副業) 治験報酬(+他の副業)が 20万円超 20万円以下なら所得税の申告は不要
学生・フリーランス 治験報酬(+他の所得)が 48万円超 基礎控除(48万円)を超える場合に必要

※ 学生の方へ:勤労学生控除の罠
アルバイト(給与)と治験(雑所得)を掛け持ちしている場合、雑所得が10万円を超えると「勤労学生控除」が受けられなくなる可能性があります。学生の方は、年間10万円以内に抑えるのが最も安全なラインです。

「副業バレ」を防ぐための住民税対策

「会社に治験に参加していることを知られたくない」という方も多いはず。

実は、所得税の確定申告が不要な「20万円以下」のケースであっても、住民税の申告は別途必要になります。この際、何も対策をしないと住民税の額から副収入が会社に伝わってしまうことがあります。

  • 対策:確定申告書(または住民税申告書)の「住民税に関する事項」で、「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れましょう。
  • これだけで、治験報酬分の住民税の通知が自宅に届くようになり、会社にバレるリスクを大幅に抑えられます。

まとめ

いかがでしたか?

治験の報酬──正式には「負担軽減費」と呼ばれるこの制度。

  • アルバイトではなく“ボランティア”
  • 報酬は拘束時間や入院日数、検査内容によって決まる
  • 入院型なら1泊あたり20,000〜30,000円が相場
  • 休薬期間(約4ヶ月)があるため、連続参加はできない
  • 税金や確定申告にも注意が必要

お金のことだけじゃなく、「自分の意思でちゃんと内容を理解してから参加すること」がとても大切です。

この記事が、治験について前向きに検討するきっかけになれば嬉しいです。

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